年度計画・報告  Annual Report


財団法人 武田計測先端知財団 平成20年度事業計画改定

(平成20年4月1日から平成21年3月31日まで)


1. 顕彰事業

財団設立以来、生活者の富と豊かさ・幸せの増大に貢献する先端知の創造とその活用に貢献したアントレプレナーシップに富む研究者、技術者、を顕彰する事業を行ってきた。

平成20年度の中心となる事業は、大阪府、大阪商工会議所など9団体で構成するバイオビジネスコンペJapan実行委員会と協賛して、国際社会の健全な発展と人類の豊かさと幸福に寄与することが期待されるバイオ技術に対してバイオ先端知賞を贈る事業である。

選考は、最優秀賞2件、優秀賞5件、審査委員特別賞、協賛企業特別賞とともに行われるため、バイオビジネスコンペJapan実行委員会の選考委員会が行い、財団は、バイオ先端知賞の賞金を提供する。

必要な費用は、賞金100万円と打ち合わせのための旅費約2万5千円である。指導に当たる常任理事とプログラムオフィサーとして業務を行う専務理事の工数は理事の工数全体の約5%が必要である。

2. 助成事業

財団設立以来、生活者の富と豊かさ・幸せの増大に貢献する先端知の創造とその活用に貢献する研究開発や研究開発者の助成事業を行ってきた。平成20年度の中心となる事業は、若手優秀研究者に奨学金を授与する事業である。

平成20年度では、アジアを中心とする国から日本に留学している環境系の外国人留学生を主な対象とする。期間は1年で100万円の奨学金を1件以上授与する。

インターネット上で募集するか、あるいは在外公館など中立的な機関に推薦を依頼し、専門的知見を有する常任理事などが候補者を選考し、理事会で決定する。

費用は、奨学金100万円、指導する常任理事とプログラムオフィサーとして業務を行う専務理事の工数は理事の工数全体の約5%が必要である。

3. 調査事業

(1) アントレプレナー、プロジェクト、先端科学技術等の調査

生活者の富と豊かさ・幸せの増大に貢献する先端知の創造とその活用に貢献したアントレプレナーシップに富む研究者、技術者、経営者、プロジェクト及び先端科学技術そのものについての調査を行い、その内容を広く普及させるためにインターネット上で調査報告書の公開や書籍として出版などを行う。

毎年、10件程度の対象者あるいは対象プロジェクトなどを、先端技術と社会的要請などを定常的に調査研究している財団職員(プログラムオフィサーとプログラムスペシャリストなど)が分担して公開資料やインタビューなどをもとにして調査する。週1回程度担当常任理事の指導のもとに、調査担当者がミーティングを行い、相互に討論を行って内容の深化をはかる。

平成20年度は、下記①と②の調査を行う。

① 世界をリードした半導体共同研究プロジェクトの調査

平成18年度から下記のような趣旨で調査を開始した。平成19年度でおおむね調査を終了する予定であるが、調査結果を出版するために必要となる追加調査を平成20年度で行なう。この調査結果を市販の書籍流通ルートにのせる事ができる出版社から出版する。出版時期としては、平成20年度後半を予定している。

最近の半導体関係の共同研究プロジェクトは、洋の東西を問わず、複数の会社からの出向者を集めたものが多く、それがほぼ常識化されて来ている。このような共同研究の源泉をたどると1976年から1980年に行われた通産プロジェクトの超LSI共同研究所に行き着く。超LSI共同研究所は世界初の新しい手法の開発ということから、アントレプレナーシップの発揮と言えよう。さらに、超LSI共同研究所の試みは、欧米に於ける研究にも影響を与え、米国におけるSEMATICH、欧州に於けるIMECなどの世界の共同研究の潮流となった。

この調査では、原点に戻って、超LSI共同研究所とそれ以降の主な共同研究プロジェクトをレビューし、超LSI共同研究所において掲げられた"基礎的共通的"な考え方の与えた効果を考え、それがその後の共同研究にどのように生かされて来たか、生かされていないかを調べ、今後のプロジェクトの参考に供したい。日本のみならず、米国や欧州の共同プロジェクトについても調査を行なう。

調査を行なう研究機関は以下の通りである。

超LSI技術研究組合共同研究所
技術研究組合 超先端電子技術開発機構(ASET)
半導体MIRAIプロジェクト
高効率次世代半導体製造システム技術開発(HALCA)プロジェクト
あすか(ASUKA)プロジェクト
株式会社 半導体テクノロジーズ(Selete)
株式会社 半導体理工学研究センター(STARC)
株式会社 先端SoC基盤技術開発(ASPLA)
21世紀型顧客ニーズ瞬時製品化対応新生産方式の創出(DIIN)プロジェクト
技術研究組合 極端紫外線露光システム技術開発機構(EUVA)
SEMATECH
Albany NanoTech
IMEC vzw

② アントレプレナーの調査

平成19年度で第3次調査までを終了したが、第4次調査として、最近成果をあげ、生活者に富と豊かさ・幸せをもたらしたアントレプレナー約10名に関する調査を行なう。調査結果は、書籍として出版する。

調査事業に必要な人員としては、調査と出版のための原稿整理などに、週1日から3日の業務を委託している財団職員(プログラムオフィサーとプログラムスペシャリスト)の工数の6割弱が必要である。また、指導にあたる担当常任理事や、プログラムオフィサーとして調査にあたる専務理事の工数は、理事全体の工数の5割弱が必要である。資料収集費や旅費交通費などで約50万円、出版費用として約275万円程度が必要である。

(2) 委託調査

これまで蓄積した財団スタッフの調査能力を生かし、さらに磨くために産業技術総合研究所などから、調査の依頼があった場合には積極的に受託する。

4. 普及事業

(1) 武田シンポジウムなどのシンポジウムや講演会の企画・実施・出版

財団メッセージを発信するために、先端科学技術を生活者の視点からみた講演やシンポジウムを開催する。

中心となっているのは2004年より、毎年2月頃に開催してきた武田シンポジウムである。その年に注目すべき先端科学技術はどういうものかについて、財団理事も参加して財団スタッフによる徹底的な討論を行って毎年のテーマを決める。そのテーマにそった講師を依頼し、講演とパネル討論あるいは総合質疑を行う。対象は、ビジネスマン、主婦、学生、退職した人など幅広い一般の人である。毎年東京大学武田先端知ビルで開催し、参加者は約350人、入場料は無料である。また、その内容を書籍流通ルートで販売する書籍として出版する。平成19年度の2月に実施した武田シンポジウム2008の内容をもとにした書籍を平成20年度の12月に出版する。出来るだけ多くの人に読んでもらえるように出版する書籍は市価よりも低価格に設定する。

平成20年度の武田シンポジウム2009は平成20年度の2月頃に実施する。

必要な人員としては、企画と出版のための原稿整理などに、週1日から3日の業務を委託している財団職員(プログラムオフィサーとプログラムスペシャリスト)の工数の2割弱、及び指導に当たる理事やプログラムオフィサーとして業務を行う専務理事の工数は、理事全体の工数の3割弱が必要である。シンポジウムの予稿集印刷費、設営運営費、講師謝礼等で約150万円、出版費用として約150万円、その他経費として約13万円が必要である。

(2) カフェ・デ・サイエンス

普通の人たちが、専門用語で独特の概念について議論することになれてしまっている科学者と一緒に、日常的な言葉と具体的なイメージで科学を語り、それによって、科学の知識を得ようというのではなく、物事を科学的に考えるとは、どういうことなのかを体得する場を開催する。詳細な内容を文章にしてインターネット上で公開する。可能な場合は書籍として出版などを行う。

気楽な雰囲気で対話ができるギャラリーやカフェなどを会場で、科学者一人から二人をゲストとし、30名から50名の参加者を募集して財団職員であるモデレータが司会をして、年に6回程度開催する。年度ごとに大きなテーマとメインのゲストを決め、メインのゲストが毎回のゲストを決める形で開催することが多い。

平成20年度は平成19年度に引き続いて大島泰郎先生にメインゲストとして、「異端児のみる生命」をメインテーマに実施する。

専門的な知識と能力を有するモデレータと内容を整理して原稿を作成するスクリプターが必要であるが、これには先端技術と社会的要請などを定常的に調査研究している財団職員(プログラムオフィサー、プログラムスペシャリストなど)があたる。これに週1日から3日の業務を委託している財団職員(プログラムオフィサーとプログラムスペシャリスト)の工数の約15%、及び指導に当たる理事やプログラムオフィサーとして業務を行う専務理事の工数は、理事全体の工数の約10%が必要である。500円程度の参加費を徴収し、それをそのまま会場費にあて、不足分を財団経費として支払う。ゲストへの謝礼を含めて年間約60万円程度の開催費が必要である。

5. 新法下の法人への移行

平成20年12月から、新法が施行となり、武田計測先端知財団は、特例民法法人となり、5年以内に新法下の公益財団法人か一般財団法人に移行しなければならない。新法下の法人への移行の具体的な手順等が明らかになりつつある。早期に新法下の法人に移行するべく定款や諸規定の作成を進め、12月の新法施行後出来るだけ早い時期に新法下の法人に移行する。

6. 総務関係

会計監査契約

平成18年度より会計監査契約先を、これまで新日本監査法人から、和田公認会計士事務所に変更したが、今年度も継続して契約する。契約形態は監査契約である。