年度計画・報告  Annual Report


一般財団法人 武田計測先端知財団 平成23年度事業計画

(平成23年4月1日から平成24年3月31日まで)


1. 顕彰事業

継続事業1 研究開発者顕彰事業

平成22年度からは、バイオビジネスコンペJapanは第2期事業としてBio-Technology Business Award in Japanとなった。大阪商工会議所と大阪医薬品協会が主催者である。基本的なコンセプトは、大手企業の研究開発担当者を始めとする、第一線で活躍するアライアンスパートナー(買い手側)が注目する、ビジネスとして魅力がある医薬分野の技術シーズとのマッチングの場から発掘して顕彰する、というものである。マッチングのために、疾患別・基盤技術別商談会を開催し、製薬企業の研究開発担当者の採点結果等をもとに、参加した技術シーズの中からバイオビジネスアワードの選考を行う。平成23年度も、国際社会の健全な発展と人類の豊かさ・幸福への寄与が期待されるバイオ技術に対して「バイオ先端知賞」(Bio Frontrunner Award、賞金100万円)を提供する。選考はバイオビジネスアワードの選考と同時に行ってもらう。

2. 助成事業

継続事業2 奨学金の給付

今後発展が期待されるアジアからの博士課程などに留学している若手優秀研究者2名に武田奨学賞を授与する等の助成事業を行う。期間は1年間で金額は一人当たり100万円とする。アジア研究圏の活動との連携も考える。

財団のアジア等に関する情報取得を助けるため、受賞者に財団で出身国の状況等のプレゼンテーションを行って貰う。

在外公館などに推薦を依頼し、理事会で選考する。

3. 調査事業

継続事業3 先端科学技術等の調査事業

(1) アントレプレナーの調査と出版

世界を先駆けるイノベーター

平成23年度では第5次調査として、最近大きな成果を上げ、生活者に富と豊かさ・幸せをもたらしたアントレプレナーに関する調査を行う。

第5次調査として、「世界を先駆けるイノベーター」というテーマのもとに以下の人の調査を行う。

荒川 泰彦エネルギー最少のレーザ素子を可能にする量子ドットデバイスの提案と実現
吉野 彰リチウムイオン電池の原型を発明
大嶋 光昭デジカメの手ぶれ補正などの発明
小柳 光正三次元デバイスを可能にするTSV技術の先駆的研究
川崎 雅司酸化亜鉛発光ダイオードの創出
細野 秀雄無機電子機能材料の創製
宮崎 修一TiNi系形状記憶合金の研究開発と実用化への貢献
松井 充実用的な携帯電話用標準暗号を開発

ソーシャルネットワーク市場の創出

グリー、ミクシィ、デイー エヌ エー 田中良和、 笠原健治、南場智子

平成23年度に調査報告をまとめ、平成24年度に出版のための原稿修正などを行い、出版する。

(2) 科学技術の国際連携戦略研究会

平成21年度において、日本とアジアとの科学技連携戦略として、「アジア研究圏」構想を日本政府に政策提言した。日本政府がこの提言に対して、一定の理解を示し、アジアとの連携について具体的な動きが始まったことから、政策提言を行うという研究会の所期の目的が達成されたと判断し、第一期の研究会を解散することとした。一方、財団活動の目的は、政策提言だけではなく、広く世界やアジアの生活者が豊かになるような動きを助長することであることから「アジア研究圏」構想を引き続き推進することとし、この構想の実現へ向けて社会的合意形成を目的とした第二期研究会を立ち上げた。委員は、有本建男(JST社会技術研究開発センター長)、小林信一(筑波大学ビジネス研究科教授)、末森 満(JICAシニア課題アドバイザー)、角南 篤(GRIPS准教授)、渡辺 孝(芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科長・教授)の5名である。

平成23年度においては、アジア研究圏構想をより広く一般の方々に紹介し、アジアとの科学技術連携に対する社会的合意形成を目的としたシンポジウムなどの活動を継続すると共に、アジアにおけるアジア研究圏への理解を促進するため、海外におけるワークショップやセミナーの開催を検討する。また、財団職員のアジアに関する知識向上を目的とした「アジアについての勉強会」を定期的に開催すると共に、留学生や大学院生を対象として英語による科学技術についての討論会開催を検討する。これらの活動の内容をホームページ上に公開するとともに、流通ルートにのる出版物としての出版も計画する。

(3) TTM (Takeda Tea Meeting)

調査事業と普及事業を行う財団スタッフの力量を向上させるための勉強会として、毎週1回火曜日に実施する。自分が関心をもったテーマについて説明し、スタッフ持ち回りで情報収集、調査した内容について全員で討論を行なう。財団の活動方針や、武田シンポジウムなど財団行事の企画についてもこのミーティングで討論する。また、アジアについての勉強会などの外部講師の依頼も計画し様々な分野の知見を学習する。今後3年間の活動をどのようなコンセプトで実施していくかについての議論も行う。

TTMで実施したテーマは事業報告書に記載して公開し、資料については要求があれば著作権侵害にならない範囲で公開する。

(4) 委託調査

これまで蓄積した財団スタッフの調査能力を生かし、さらに磨くために調査の依頼があった場合には積極的に受託する。

4. 普及事業Ⅰ

継続事業4 武田シンポジム等のシンポジウムや講演会の企画・実施・内容の公開事業

(1) 武田シンポジウム

東京大学武田先端知ビル武田ホールで実施する。財団スタッフで現在の世の中の大きな流れについて議論し、取り上げるべきテーマを決め、そのテーマにふさわしい講師を人選する。シンポジウムでの講師は3人程度とし、講演と総合質疑を行う。財団理念に基づくインパクトのあるメッセージ発信の場とする。

(2) 武田シンポジウムの内容を元にした書籍の出版

武田シンポジウム2011の内容を基にした本を出版する。財団メッセージの発信であり、良く売れ、読んで貰える内容と装丁にする。

5. 普及事業Ⅱ

継続事業5 サイエンスカフェの企画・開催・内容の公開事業

(1) カフェ・デ・サイエンスの実施

平成23年度においても、カフェ・デ・サイエンスを実施する。「普通の人たちが、専門用語で独特の概念について議論することになれてしまっている科学者と一緒に、日常的な言葉と具体的なイメージで科学を語り、それによって、科学の知識を得ようというのではなく、物事を科学的に考えるとは、どういうことなのかを体得する場とする。」ことを基本的な考え方とする。

平成22年度に引き続き、平成23年度においても前半は、総合研究大学院大学理事・教授の池内了さんに講師をお願いする。後半の講師は、前半の活動を継続しながら選定する。

(2) ウィークエンド・カフェ・デ・サイエンスの開催支援

科学博物館が行っている「サイエンスコミュニケータ養成講座」の修了生が中心となってウィークエンド・カフェ・デ・サイエンスを行いたいという動きがあり、平成21年度から財団としては共催の形で支援してきた。平成23年度においても、支援を継続する。ホームページへの掲載、参加申し込みの受信、打合せ場所の提供、カフェ実施の委託、必要な助言を行うなどの支援を行い、若い世代への働きかけを強化していく。

また、任意団体として運営方法や会計処理の体制整備を行い、ウィークエンド・カフェ・デ・サイエンスとして自立していけるような支援を行う。

6. 広報など

(1) 財団ホームページ更新

一般財団法人平成22年度事業報告書と決算書、平成23年度事業計画書と予算書をホームページに掲載して公開する。また、アントレプレナー調査報告書、科学技術の国際連携戦略研究会の報告書、勉強会の議事録、カフェ・デ・サイエンスの内容などを掲載したホームページの更新を随時行なう。

休止していた英語版の更新も再開する。

7. 公益目的支出計画

一般財団法人平成22年度の決算に基づいて公益目的支出計画の実施状況の報告を行う。また、平成23年度の公益目的支出計画を実現するために継続事業1から5を実施する。

8. 総務関係

業務委託契約

和田公認会計士とは、会計処理帳票の作成及び決算書類の作成とそのためのサポートの業務を委託する業務委託契約を継続して締結する。

平成23年度予算

収支計算書ベースから正味財産増減計算書ベースへの変更

平成22年度までは、収支計算書ベースで予算を記述してきたが、会計基準の変更に合わせて、正味財産増減計算書ベースでの記述に変更した。

収支計算書の次期繰り越し収支差額に相当するのは、正味財産増減計算書では正味財産期首金額であるが、これには現金、預金のほかに、前払い金、未払い金が含まれるので、明図ビルの敷金1,785,000円が加算される。

報告1の平成22年度決算見通しの収支計算書ベースの次期繰り越し収支差額は、156,601,452円であるので、平成23年度の正味財産期首金額の見通しは、1,785,000円を加算した158,386,452円となる。端数を切り下げて、158,380,000円を平成23年度予算の正味財産期首金額とした。