4.環境マネジメントと新しい経済モデル
  今日の主要な人間活動は、市場経済によって動かされている。環境マネジメントもその例外ではなく市場経済によって動かされている、あるいは市場経済の原理によらなければ解決できない、ということは様々な人によって指摘されてきた。例えば、「ファクター10第8章4」」において「今日一般に受け入れられる唯一の論拠は経済的なものだからです。自然を破壊しないためには、経済的な論拠をしめさねばならないのです。」とBolivariana大学教授のManfred Max-Neefが述べたことが書かれている。
  人間活動による経済活動は目覚しい発展を遂げ、有限な地球環境に無視できない影響を与えており、環境マネジメント問題を引き起こしていることは多くの人によって指摘されている。この環境マネジメントの課題を解決に導くためには、人々の支持が得られるような環境マネジメントを包含した新しい経済モデルの構築が必要になる。
  エコリュックサックとMIPSは、環境負荷を表す工学的尺度として新しい経済モデル構築のための出発点を提供できると期待される。また、MIPSに含まれるサービスの概念は重要であり、人間の価値観を財の所有からサービスの享受へと変えていくことも新しい経済モデルの構築のための有力な考え方の一つである。さらに、新しい経済モデルの構築には、経済学、環境科学、その他必要な学問によるトランスディシプリナリな努力が必要となる。
  このようにして構築される新しい経済モデルは現在の経済モデルと違った姿になるかも知れないが、今後の発展に期待したい。
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