The Takeda Award 理事長メッセージ 受賞者 選考理由書 授賞式 武田賞フォーラム
2002
受賞者
講演録
赤崎 勇
page 1
page 2
page 3
page 4
page 5
Q&A






赤崎 勇
 
back next

[図 29]

[図 30]

[図 31]

[図 32]

[図 33]
[図 29]
量子効果について簡単にお話しますと、私たちは1991年、井戸幅2ナノメートルの多重量子井戸を用いて量子サイズ効果を検証し、1997年には窒化物系で初めて圧電効果を見出し、さらに量子閉じ込めシュタルク効果を検証しました。これらの構造や現象は将来いろんな意味で大事であります。

[図 30、31]
ちょっと端折って応用について述べたいと思います。先ほどご紹介がありましたように、GaN系のLEDはこのように交通信号機に使われ始めていますし、明るいアウトドアのフルカラーディスプレイをいろんなところでお見掛けになると思います。また、植物栽培用光源として(緑色野菜に対しては、原理的には赤と青が有効で緑はほとんどいらないので)省エネになります。これはレーザでもLEDでもいいわけですが、成長速度を促進できるそうです。これは先ほどご紹介がありましたが、近く出るBlu-rayディスクやもう一つ規格ができたようですが、記憶容量を6倍から7倍に向上させるには光源としてこの青色半導体レーザが必要不可欠です。次に、私どものやっている例を一つご紹介いたします。これは室内光や太陽光には感じないで、炎のスペクトル中の極めて微弱な紫外線だけを検知するアルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)を使ったディテクターです。これで炎の温度などを監視して、燃焼効率を高めることで、省エネルギーにつなげていこうという計画です。

[図 32]
このように窒化物半導体を眺めてみますと、例えばブルー、グリーンあるいは先ほどお話のありましたホワイトLEDはこのようなディスプレイや、いろんな信号灯などに使われ始めております。白色LEDは効率をさらに上げると現在の照明に取って代わると思われます。それからこの植物栽培には今後欠かせないものです。これはLEDもLDも、ルミネッセンス現象ですから熱を伴いませんので、白熱電球の発熱負荷を大いに和らげることが可能になるからです。次にレーザの応用を一つだけ例をあげますと記録密度を大幅に増大させることができますので、来るべき大容量時代に備えるにはこれしかない、ということになります。また、そろそろ出始めておりますがいろんなメディカルな応用が考えられます。さらに、今日の青色に直接関係はありませんが、窒化物半導体の高品質結晶やpn接合、そして量子構造などを使うと、非常に高速でしかも高出力のトランジスタその他の電子デバイスを作ることができます。トランジスタは周波数を高くすると出力が落ちるという特性がありますが、両者とも同時に高くするには、GaN系半導体しかないと、私は思います。そういうデバイスがそろそろ出始めていまして、これは近未来の移動体通信には必須のものです。窒化物半導体は結合が非常に強いので苛酷な環境にも耐えるという優れた特徴を持っています。したがって、例えば高温で動作するエレクトロニクスシステムを構築することができます。私はスリーEと言っております、つまり窒化物ですから環境(Environment)に優しく、省エネルギー(saving Energy)になる、それから非常に苛酷な環境に耐えられる(Enduring)ということで、このようなキーワードで表現しております。

[図 33]
私はこの研究を進める上で、先ほどお話しましたように松下電器東京研究所の当時一緒に研究を手伝ってくれた仲間たち、それから名古屋大学、名城大学の先輩、同僚、後輩の先生方、そして天野浩君を始め、多くの優れた共同研究者、さらに私の研究室を巣立っていった多くの学生さんたち、こういったたくさんの方々のご協力でこの仕事を成し遂げてまいりました。また名古屋大学に移った頃はじつは先ほどお話できなかったのですが、クリーンルームがありませんので、それを作ることに苦心いたしました。クリーンルーム規格は当時の文部省規格に、ほとんど合わないので、必要性を納得してもらうのに随分時間がかかりました。まだ松下電器に在籍中から何回も文部省の出先機関や名大に足を運びました。もう一つ困った問題はファンドの問題です。たいへんたくさんお金が掛かります。ここには一例として放送文化基金だけ書かせて頂きましたが、いろんな財団に数え切れないくらいのプロポーザルを毎年書きました。私が名古屋大学に移ったときの最初の二、三年の仕事の中で大きな割合を占めています。こういった方々の大きなご支援で今日この場に立って、立派な賞を頂くことになりました。どうもありがとうございました。(拍手)


 
back next
講演録トップへ

武田賞フォーラムトップへ

武田賞TOPへ