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人間?機械? 睡眠・ヒト型ロボット・無人操縦 -

人間?機械? 睡眠・ヒト型ロボット・無人操縦 イルカなどの脳は半分ずつ眠る
武田シンポジウム2017をもとにした書籍が『人間?機械? 睡眠・ヒト型ロボット・無人操縦』として11月20日に丸善から出版されます。
Kindl版も近日中に発売予定です。
睡眠、人間そっくりのロボットであるアンドロイド、人の代わりに機械を操縦する機械の3つのテーマに沿って、睡眠の仕組み、人間としての意識、機械による代替え・関わりを扱っています。
そして各先端領域の研究、応用の状況、ビジネスへの展開などの将来の展望をまとめました。人間のより深い理解と洞察の、多面的切り口からのアプローチについて、お楽しみいただける一冊です。

出版社名 丸善プラネット(株)
発行年月 2017年11月
販売価格 1,200円(税別)

 丸善プラネット(株)の紹介ページ
  http://planet.maruzen.co.jp/bookdetail.php?pg=0&id=171102110916
本書の内容

まえがき
 武田計測先端知財団では、世界の生活者の富と幸せを増大させる科学技術の発展の中から、大きなテーマを選び、シンポジウムを開催しています。
発展する科学技術は、単一の領域を超えて、多くの分野が互いに関連する複雑なシステムになっています。このような複雑なシステムを、大きな俯瞰的テーマのもとに、さまざまな分野のアプローチを考えることで、多面的な理解を試みようと、企画してきています。
2017年は、『どこまでが人間なのか』と題して、人としての意識、機械による代替・関わりと言ったことを議論しようと思います。

 初めのテーマは、睡眠 です。パスカルによれば『人間は考える葦』とのことです。睡眠中は考えておりませんから、その間は人間ではないのでしょうか。毎日当たり前のこととして、覚醒と睡眠を繰り返しています。睡眠中は何もしていないのでしょうか、意識や眠い状態は、どう考えたらよいのでしょうか。最新の神経科学がこうした問題に挑戦しています。
 次のテーマは、人間そっくりのロボット です。アンドロイドと名付けられたロボットは、人と見まがう外見・動作・反応などを目指しています。アンドロイドには人間のような存在感が生じ、アンドロイドを操作する人はロボットを自分の身体の一部に感じられます。アンドロイドと人間とのインタラクションを通じて、人らしさ、とは何なのを考えます。
 3つ目は、人の代わりに機械を操縦する機械 です。複雑な機械の操作は、それを作り出した人間の専売特許だと信じられてきましたが、そういう領域を肩代わりできるようになってきています。自動運転と呼ばれるこうした技術の開発により、機械は『もの』から、『サービス』を提供する装置へとコペルニクス的転換をし、人・社会・ビジネスに大きな影響を与えます。
こうした3課題を通じて、人とは何か、ということを掘り下げて議論してみたいと思います。
 本書は、この『武田シンポジウム2017』をもとに、3人の演者に書き下ろして頂いたものです。『人間?機械? 睡眠・ヒト型ロボット・無人操縦』と題して、各先端領域の研究、応用の状況、ビジネスへの展開といったことの将来をまとめました。
 第1章では、『睡眠覚醒の謎に挑む』として、睡眠の謎に迫ります。
 第2章では、『人間型ロボットと未来社会』としてアンドロイドの様子を展開します。
 第3章では、『ヒトの代わりに機械を操縦する』として自動運転がもたらす社会を予想します。
 第4章は、シンポジウムの最後に行われたパネルディスカッションを抄録し、これら3課題が各々人の存在にどういう角度から光を当てていくのかの交絡を展望しました。
人のより深い理解と洞察の、多面的切り口からのアプローチについて、お楽しみいただければ幸いです。

あとがき
 武田シンポジウム2017の内容をもとにした『人間?機械? 睡眠・ヒト型ロボット・無人操縦』をお届けします。今回は、楽しい、面白い話題もたくさんありました。
 柳沢先生の睡眠のお話しと総合討論の中で、イルカや渡り鳥などは脳の半球ずつ眠ることができるという話がありました。いつも水中で泳いでいながら呼吸をするために水上に出なければならないイルカや何千キロのも距離を飛び続けなければならない渡り鳥は、そのために脳が働き続けなければなりません。それが出来るように半球ずつ眠るというのは、自然の妙の最たるものだと思いました。イルカのようなかなり知能が高いと言われている動物でこういうことができるのであれば、人間のような知能を持っていて、しかも半球ずつ眠れる動物が現れたら、人間はとてもかなわないかもしれません。
 石黒先生のロボットと人間が会話するお話の中で、ロボットは人間の話を全く聞いていなくても、それなりの答えができるということには驚きました。考えてみれば人間同士の会話でも、中身を聞かないで返事をすることもあり、それで結構会話が成り立っていることもありますから、それほど不思議なことではないのかもしれません。顔色をみたり、話のつながりから勝手に答えたりしています。まさにマルチモーダルで、人間はいくつかの現象を同時に見ながら判断しているせいでしょう。
 谷口社長の宇多田ヒカルのお話しのビデオは面白かったのですが、残念ながらこの本には掲載できませんでした。動画から、宇多田ヒカルと共演したロボットが丁度よい具合に映っている静止画を取り出したりしてみたのですが、著作権をクリアできずに掲載はあきらめました。ユーチュブでは見ることが出来ると思いますのでそちらでご覧ください。
 人間とAIの関係は、ここ数年間の武田シンポジウムの背景になっています。誤解を恐れずに言ってしまえば、AIが実用的は場面で役に立つようになってきました。それもかなり早い速度で実現しています。感情とか意思とかの領域でもコンピューターが出来ることは多くなるのだろうと思います。しかし、ここには条件があって、論理的な記述が出来る、あるいはコンピューターが論理的な記述を自分で発見できる領域であるということです。感情とか意思のなかには、脳が論理的に処理していることも多いわけですから、そこはコンピューターが得意とするところです。囲碁や将棋も論理的に処理できることが大半だろうと 思います。だから人間に勝つことが出来るのです。そういう領域で論理を追いかけることは普通の人間は得意ではありません。これまでは、そういう領域で仕事ができるのが人間だけだったにすぎません。今はコンピューターの方が得意な領域になってしまいました。コンピューターの得意な領域をAIがどんどん実現してゆくと、AIの哲学のようなものが生まれると思います。そこまでくれば、人間にしかできないことはもっとはっきりしてくるでしょう。時間はだいぶかかりますから、武田シンポジウムで取り上げることは難しいかもしれませんがいつかはやってみたいと思っています。
 今年から出版は丸善プラネットさんにお願いすることになりました。これで12冊目になります。その一覧表を最後のページにつけました。