3.GNUプロジェクト
概要
   Richard M. Stallmanは1984年にマサチューセッツ工科大学を退職し、UNIX互換のコンピュータOSをフリーソフトウェアとして作り始めた。これがフリーソフトウェアを作成配布するGNUプロジェクトのスタートである。1985年には、完成したエディタをインターネット上に公開して自由に使えるようにすると共に、フリーソフトウェアを作成配布するGNUプロジェクトの推進組織としてFSF(Free Software Foundation)を設立した(6)。
   GNUプロジェクトは、汎用的ソフトウェアを対象としたオープンな開発方式の先駆である。Stallmanの提唱するフリーソフトウェアの考え方はソースコードの公開、プログラム改良やコピー配布の自由などを含むものであり、これらの自由と公開の原則によって、世界的に衆知をあつめ、高品質で信頼性の高い基本ソフトウェアを実現することが可能になった。この原則をまとめたものがGPL(General Public License)(7)である。Stallmanはこのフリーソフトウェアの考え方のもとに、UNIX完全互換のソフトウェアシステムの開発を目指した。その結果、高機能エディタEmacs、コンパイラGCC、グラフィカルユーザインタフェース(GNU desktop) GNOMEなどのGNUソフトウェアが作成された。また、OSカーネルも作成されているが、それが実用的に使える段階になる前に、Linuxが開発された。LinuxとGNUソフトウェアとの組合わせにより、完全なUNIX互換のオペレーティングシステムがフリーソフトウェアとして誰もが自由に使えるようになった(8)。
   GPLというフリーソフトウェアの考え方は、他のオープンソフトウェア開発への基盤の役割を果たすものであり、高機能エディタEmacsなどの成果は、その高機能と高信頼性とによってフリーソフトウェアに対する高い評価をもたらした。

GNUプロジェクトの成果(GNUソフトウェアとGNUGPL)
   GNUプロジェクトによって開発されたソフトウェアとして、800余りのGNUソフトウェアがあり、また14以上のGNUプロジェクトが登録されており、進行中である。 GNUが主張するフリーソフトウェアのフリーというのは、価格が無償であることを意味するのではなく、次のような自由を確保することを意味しており(9)、ソースコードが入手できることはその前提条件である。
目的を問わずプログラムを実行する自由(第0の自由)
必要に応じてそのプログラムに修正を加えたり取り入れたりする自由
(第1の自由)
コピーを配布する自由(第2の自由)
プログラムを改良しそれを発表する自由(第3の自由)
     再配布者がそのソフトを変更していたとしても、再配布するときにはいかなる制約条件も追加せずに、フリーソフトウェアとして再配布することを条件とすることを「コピーレフト」(Stallmanの造語)と呼んでいるが、上記の条件はそのための具体的な条件セットとなっている。(10)

フリーソフトウェアの信頼性
   1990年と1995年のUnixユーティリティプログラムについての調査によれば、商用のUnixシステムの故障率が15%から40%であるのに対して、GNUの故障率は6%ないし9%に過ぎない(11)。フリーソフトウェアの信頼性が高いことは、2000年9月の米大統領情報技術アドバイザリーコミッティの報告書でも認められているが(12)、その理由は次の2つと考えられている。
1) フリーソフトウェアの場合は、問題を解決するためにコミュニティの全員が協力しあう。すなわち、ユーザはバグを報告するだけでなく、自分で修正プログラムを提案したり、バグを修正するためにメールで会話しながら一緒に作業するので、効率的に修正される。
2) ソースコードが万人に見えるので、開発者が信頼性を高める努力をする程度が高く、ソースコードのデバッグが徹底的に行われる(13)。
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