The Takeda Award 理事長メッセージ 受賞者 選考理由書 授賞式 武田賞フォーラム
2002
受賞者
講演録
天野 浩
page 1
page 2
page 3
page 4
page 5
Q&A






天野 浩
 
back next

[図 5]

[図 6]

[図 7]

[図 8]

[図 9]
[図 5]
青色発光がなぜ難しいかというのを、人間の観点から見ます。これが人間の目の感度の波長依存性を表しています。ここが緑です。緑というのは人間の目に非常に感度が高い。要するに、弱い光でも良く感知できるということです。それに対して、青色は緑色の100分の3しか感度がない。要するに、青色で緑と同じ明るさを実現しようとすると、30倍も明るくないと、同じ明るさに見えないわけです。ですから、もともと青色というのは非常に難しかった。

[図 6]
それから赤ア先生のお話にもありましたとおり、サファイアの上に着けるということですが、ミスマッチが16%もありまして、当時の常識ではこれは、良い結晶は絶対できないと思われるような数値だったわけです。

[図 7]
このような状況の中で、研究を開始したわけですけれども、当然のことながら、大学4年生、ずぶの素人ですから、最初の頃、大変な苦労をしました。まず、成長装置に関してお話しします。

[図 8]
結晶を作るどころか、まったく結晶を成長させることができなかったのです。どうしてできないかということを色々考えまして、実際見てみるしかない、ということで、見たことをまとめた論文がこれです。

これは成長装置を表していまして、ここからガリウムの原料を供給する。それで、ここから、窒素の原料であるアンモニアを供給する。そのような成長装置になっています。

発煙筒の原料を用いて、中でどういう流れになっているかを見てみたわけです。そうしますと、ここにサファイアがあるわけですが、ものの見事に、ガスの流れがサセプタと呼ばれるここを避けて、ガスが流れていることがわかったわけです。

これは、窒化ガリウムという材料を作るときに、従来の半導体に比べて、非常に高い温度にしなければいけないということで熱の対流が非常に大きく起きて、この熱の対流によってガスが避けて通ってしまうことが、このガスの流れの観察からわかりました。

当然のことですけれど、これでは、成長するわけがない。全く着かない。それで、、従来水素を使っていたガスを、窒素に変えました。水素の場合はきれいに流れるんですが、窒素にするとぐちゃぐちゃの状態になりました。ここでかき混ぜる効果があって、かき混ぜたガスが均一に流れるという状態になったんです。ということで、一応ガリウムナイトライドは着くようになりました。

[図 9]
ところが、ガスを非常にかき混ぜた状態で供給するものですから、途中で色々な反応が起きて、ここで見られるような白いパウダーがいっぱい着くという状態が続いたわけです。これをまず何とかしようといろいろ工夫して、最後にたどり着いたのがこの形です。




 
back next
講演録トップへ

武田賞フォーラムトップへ

武田賞TOPへ