The Takeda Award 理事長メッセージ 受賞者 選考理由書 授賞式 武田賞フォーラム
2002
受賞者
講演録
中村修二
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Q&A






中村修二
 
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<質疑応答>

垂井)どうもありがとうございました。それでは、質疑に入りたいと思います。

質問者1)アメリカでならば、博士の裁判は勝てるのに、なぜ日本でやられたのでしょうか。また、徳島にいた時代の年収と、今の年収では何倍くらい違っているのでしょうか。

中村)裁判のことですが、本当はおっしゃるとおり、アメリカでしたかったのです。現在日亜を訴えている「特許権の所属とその対価」でね。これは、アメリカでは「正当な」裁判ですから。アメリカでやろうとしたのですが、、特許法というのは、"日本の"特許法で、アメリカのではないのです。だから日本でやらないとしかたがないらしいのです。
それと、収入ですね。日亜化学を99年に辞めたのですが、その時の年収は全てを入れて1600万円です。大学の教授の収入は、これは、9ヵ月分なんですが、16万ドルです。あと3ヵ月分は研究費とかで稼ぐので、年収で22万ドルですね。これはその、公の話でして、あとは、先ほど言ったようにプライベートにコンサルティングをやっています。そちらはプライベートなので言えませんね(笑)。しかしやはり、全然収入は違いますね。日本は言ったように永遠のサラリーマンですから。

質問者2)いつも、先生の業績のすばらしさに感動して、講演を頼まれると先生のお話を少しさせていただいております。こういう人が日本の中にどうしてたくさん出てこないのでしょうか。そういう点で思い切り力を出して、我が国の発展に貢献していただきたいと思います。もう一つは、日本の中でごまかしが多くあり、外来語をカタカナにして、違った意味で使うという光景が非常に見られます。外国におられて、日本の文化、文明、それから教育について、先生のお考えをいただきたいと思います。

中村)いや、手短には難しい質問ですね。やはり、日本というのは、日本人だけから成る同一民族ですから、日本語だけの狭い鎖国状態に近いですよね。世界中グローバル化ですから、やはり他民族が入って、いろいろな言葉を話せるようにならないと、日本だけ取り残されているイメージが強いですね。とくにアメリカだったら他民族国家でいろいろな人がいますから。だから、そういう意味で日本っていうのは鎖国状態に近いようなイメージにとりますね。

質問者3)先ほどのお話では、アメリカの学生は、給料をもらって、修士課程だとか博士課程を進んでいると。でも日本の大学は、授業料を払って大学で勉強したり、研究したりしています。もうその時点で、モチベーションが違いますよね。もし、中村さんが、日本の大学の助手なり助教授をやられた場合に、どうやって、大学の学生のモチベーションを上げますか。何かご意見があればぜひ教えていただきたいのですが。

中村)はい。既に大学生は、大学受験で死にかけていますからね、だから、これは難しいですよ。私は大学受験をなくさない限り、どうしようもないと思います。だってもう、大学受験でロボット化されていますからね。超難関ウルトラクイズで青春時代を全部無駄使いしているのが日本の学生です。だから日本の学生は小学生までは元気ですが、小学校から中学、高校、大学と、だんだんだんだんおとなしくなるのですよ。大学受験といったら、超難関ウルトラクイズを覚えるだけでしょ?あんなの、誰もできないですよ。だから、みんな自信を喪失するのです。たとえば高校生や大学生に「あなたの夢はなんですか」って聞いても、手を挙げて言える人誰もいない。私もそうでした。みんな自信がないから。超難関ウルトラクイズでいじめられて、ストレスいっぱいなんですよ。そういう大学生に「さあやれ」なんて、これは可哀想で私もよう言えないです。それが、日本の永遠のサラリーマンを作る教育なんです。ところが、アメリカの学生にはそういうのがありません。小学、中学、高校と、ほとんど遊びです。青春時代に遊んでいるから、ストレスフリーで育っています。体力、知力にとって、一番大事なのは青春時代です。これを全部ウルトラクイズに費やして、自信喪失させているのが日本の教育の姿。アメリカだったら適当に遊ばして、自信過剰ですね。アメリカ人をご存知でしょ?すごい自信過剰ですよ。彼らはストレスフリーで育っているからですよ。デキルかどうかは別です。ところが大学で本当に好きなことに出会ったら、自信があるからすごく勉強して伸びるのです。だから大学でどうのこうのよりも前に、そこを直さないかぎり、まず大学受験をなくさない限り、どうしようもないと思います。

垂井)まだまだご質問もあるかと思いますが、時間もだいぶ過ぎましたので、質疑応答の時間を終わらせていただきます。中村先生どうもありがとうございました。

中村)ありがとうございました。


 
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