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福井カフェ(初日)
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リーフレット

科学技術週間 カフェ・デ・サイエンス in 福井


講師: 斎藤成也(さいとう・なるや)、
ゲスト講師: 佐々木閑(ささき・しずか)
日時: 2006年4月21日



日本人はどこから来て、どこへ行くのか BACK NEXT

三井: いよいよ、「日本人はどこへ行くのか」というのをやりたいと思います。 「日本人はどこから来たか」というのは過去のことですから、いろいろな証拠があって、事実をもとに言えますね。 ところが、「どこへ行くのか」というのは将来のことですから、何でも言えると思うんですよ。どなたか、口火を切って下さいますか。

>> 私は、高校から完全に文系なので、「どこへ行くのか」というのは、哲学的な命題のようにも聞こえますが、 それを遺伝子というレベルで考えたときには、突然変異のようなものがあるんですか。あまり深く考えたことはありませんけど。

三井: 一つは、皆さんの周りに、国際結婚されている方、この頃多いんじゃないですか。 昔に比べたら、ずっと多いと思うんですけど。

>> 私の姉は、中国人と結婚して、中国で生活しています。その姪が、小学校のときと、20代のときに、 我が家にしばらく来て居たんですけども、外見は、私の子供と余り変わらないなという気はしています。もちろん、中国語を喋りますけども、 日本語も上手になって帰りました。やはり、東洋人同士だから変わらないのかもしれませんが、突然変異がでるとは予想されないんじゃないかなぁと思っています。

三井: そんなに急には変わらないというご意見ですね。

>> 私は昆虫の分類をやっているんですけども、ゴキブリのようなのは、自然の中から飛び出して、 もう後戻りのできない生き物なんですよ。そこで、チンパンジーから人間へと進化したと言うけれど、それは進化したというより、自然の中にあったものが、 いろんな文化を獲得した結果、ちょうどゴキブリのように、自然じゃないところで生活し始めたと思うんですよ。そういう意味で、 「どこへ行くか」というよりは、人間も、もう後戻りのできない生き物だと、僕は思っているんですが、斎藤さんはどうですか。

斎藤: ゴキブリの例を出されたのは、おそらく人間の家屋に棲みだしたからということですね。家畜もそうですね。 ただ、人間の文明が十分長く続けば、彼らもずっと寄生していけますよね。人間も自然の一つなので、広い意味では環境の問題ですから、 人間が滅びたら、「しょうがねぇや」というんで、新しいニッチを見つけて、しぶとく生きていくんじゃないでしょうかね。 生物は絶滅が基本ですから、まぁ、絶滅してもらってもいいんじゃないでしょうか。ゴキブリが簡単に絶滅するとは思えないですけどね。 日本人がどうなるかということでは、先程お話があったように、周りの中国とか韓国、そういう比較的顔形の似た人のあいだでの結婚は、 だんだん増えていますので、だんだん混ざっていくんじゃないかなと思うんですけどね。 まぁ、私の周りでも、アメリカ人やイギリス人の男性と結婚した女性もいますから、そういう意味でも混ざっていくと思いますが。

三井: そういう場合に、それは日本人か日本人でないかっていうのは、 日本列島に住んでいるか住んでいないかで決まるわけですか。

斎藤: それは、定義によりますね。

>> 経済もグローバル化していますけど、全てがグローバル化するんですかね。

三井: そうなってくると、生物学的なこと以外に、文化などが関係してきますね。

佐々木: こんなことを聞いたことがあります。中国の女性で、日本語の勉強をした人がいて、 中国語を喋っているときには、身振り手振りから立ち居振る舞いが、どこから見ても中国人。ところが、その人が習っている日本語を喋り始めると、 その物腰から何からが、どう見ても日本人のように見えてくる。日本人から見て優しく見えるという意味なんでしょうけども、頭を下げて、 「こんにちは」と言う。だから、DNAとは別に、もしも文化というものが国家というものを決めるのならば、一つは日本語と、 それに結びついた様々な生活文化の立ち居振る舞いですね。そういうものが日本人というものを規定する一つの枠ではないかなと思うんです。 将来、日本人が日本人であり続けるか、日本人として消えて行くのかというのは、結局、そういう文化が残るか残らないかということでもあるでしょうね。 例えば、若い人がアメリカナイズされて、アメリカの生活様式を手に入れているけれど、それでも、畳に座って頭を下げるような文化が残るのならば、 日本は残るのでしょう。しかし、どこから見ても、完全にアメリカ人に見える民族になったら、そのときには、また別の国家になるという、そんな気がします。 それはDNAとは、全く別の話ですね。

三井: 日本人は、どんどん人口が減っているという現実がありますよね。これは、進化と関係して考えてよいのか。 あるいは、それとは全然違う文化的な問題として考えるのか。そうしてどんどん人口が減っていくと、何年か後には日本人がいなくなるという説もありますが、 その辺はどうなんでしょう。

>> 福井にも最近、ALT(Association for Learning Technology)とかいって、 福井市内の小学校なんかで英語を教える先生が、アメリカやヨーロッパからたくさん来ておられます。 いろいろ話を聞いていますと、福井の女性は彼らと結婚してアメリカへ行ってしまうということが、結構あると言うんですね。 しかし、アメリカの女性が福井へ来て、福井の男を連れて帰ることはないし、福井に住み着くこともほとんどないという話です。 そうすると、女のDNAと男のDNAとは、ちょっと違うんではないかなというような気がします。

三井: 私の偏見を言わせて頂くと、日本人に限らず、男の方はどうも保守的です。 さらに、DNAに関して言えば、女性にはX染色体が2本ありますが、男性には一つしかありません。それが差になるということはないでしょうか。

斎藤: 人種差別的な発言になってしまうんですが、客観的かどうかは別にして、二つの文化を比較するとき、 高い低いという定義ができるとすると、高い文化の男性が低い文化の女性を娶るというのが一般的です。 だから、先程のお話は、アメリカの人は、そういうふうに思っているのだろうなぁということじゃないですか。

三井: 福井の男性の方、黙っていらしてよろしいんですか。

斎藤: 私の女房の友達ですけど、一人、変わった女性を知っていましてね。ある有名な会社に勤めていたんですけど、 辞めて、海外青年協力隊に入って、ブータンに行ったんです。そして、すごくハンサムなブータンの男の人と結婚したんですよね。 後で離婚しましたけど、子供さんも生まれていて、今は日本で暮らしていらっしゃいます。 彼女の場合、素敵な男性であれば、文化の高い低いはどうでも良かったんでしょうね。 ブータンの方には申し訳ないけど、いわゆるハイテクの日本と比べたら、一般にはブータンの生活は文化的に低いと思われるじゃないですか。 僕は、一度だけ、離婚する前の彼と会ったことがありますけど、いやぁ、ハンサムでしたね。

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Last modified 2006.07.04 Copyright(c)2005 The Takeda Foundation. The Official Web Site of The Takeda Foundation.