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福井カフェ(2日目)
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リーフレット

科学技術週間 カフェ・デ・サイエンス in 福井


講師: 斎藤成也(さいとう・なるや)、
ゲスト講師: 佐々木閑(ささき・しずか)
日時: 2006年4月22日



あなたはどこからきたか −日本人のDNA− BACK NEXT

三井: これも科学の一端と思し召して。次は、金沢からわざわざ来て下さった方に、是非何か。

>> がんという病気も遺伝子の突然変異だと聞いているんですが、この変異率も確率的に高いものなんじゃないでしょうか。

斎藤: 私は、がんの研究をやっていないんですが、やっぱり、ある遺伝子がおかしくなる突然変異ですね。 ノーベル賞をとった人が、2-hit theoryということを言っています。父方と母方と二つ遺伝子がありますが、二つとも潰さないとがんにならない。 そんなに単純な話じゃないんですけども、一つは、もともと親からもらった悪い遺伝子がある。もう一つは健康な遺伝子だったんだけど、 40歳、50歳になったときに、たまたま同じような突然変異が入って、遺伝子の働きが低下してしまい、そしてがんになるということが言われています。 特に、p53という特殊な名前の遺伝子があって、それが、いろんながんにならないように抑えているらしいんですが、それがやられると、 いろんながんになりやすいと聞いたことがありますので、突然変異はがんに重要だと思います。

>> 草花については、遺伝子操作が頻繁に行われていて、穀物の大豆では、遺伝子操作して、大豆の病気や虫に強いとか、 ようけ穫れるようになると。だけど、それを食べると、体に良くないんやと。何で悪いんか、お二方の先生に教えてもらえんかなと。

佐々木: アメリカでは盛んに遺伝子組み換えが行われていますが、それに対して、日本やヨーロッパは、 かなり保守的というか、それを嫌がるという、二つの大きな傾向があって、お国柄かなと思うんです。遺伝子操作というのは人工操作だと言うけれども、 草花が受粉をして、次々に世代を受け継いでいくということ自身が遺伝子の操作ですね。遺伝子操作によって新しいものを次々に生み出して行くことに対して、 遺伝子操作が悪いということになると、親から子への繋がりそのものを否定することになるから、ナンセンスな話だと思います。 ただ、問題は、自分たちに都合の良いような形で遺伝子を組み換えることによって、何か突然に変異が起こって、 それが今まで知られていなかった毒性のものを我々の肉体に与えるんじゃないかという、そういう恐怖心が、 我々にものすごく保守的な態度をとらせているんだと思うんです。これは聞いた話だけども、 遺伝子操作をしていない植物だけを作るのは不可能じゃないかと言っているんです。必ず混ざり込んでくるから。実際に作ろうと思ったら、 全く他の遺伝子が入ってこないような閉鎖系の中で栽培して作らなければいけないだろうということになっているから、 あんまりこれに対して神経質になっても困ると思うんです。ただし、遺伝子を組み換えることによって、 どんな毒性が出て来るかということをチェックする機能のほうが大切だろうと思いますがね。斎藤君はどう思いますか、専門家の意見としては。 今のは素人の意見です。

斎藤: 私は、ときどき献血をすることがあるんですね。献血には、血を抜くだけの献血と、 成分献血というのがあるんですよ。成分献血は、時間もかかるし、面倒臭いということもあるんですが、ちょっと薄気味悪くて、 今まで一切やったことがない。それは、一度抜いた血液が、遠心分離機を回って、また自分のところへ戻ってくるんですよね。 赤十字の方は、大丈夫だと仰るんだけども、自分の血液が通る装置が汚れているかもしれないじゃないですか。 遺伝子操作の大豆などを感情的に嫌だというのも、そういうのがあるんじゃないかなと思います。つまり、特定の病気に強くなるとか、 虫に強くなるとかの遺伝子だけ入れていると言うんですけど、それをやった技術者も知らない間に、別の変な遺伝子を入れている可能性はありますよね。 種子を握っているのは、アメリカの4つか5つくらいの会社で、それが、世界中の重要な種子を全部握っている。良い遺伝子を入れたときに、 意識的に、何か変な遺伝子をちょっと入れている可能性もある。それはブラックボックスですね。それは怖いですよ。アメリカは、easy-goingで、 どうでもいいじゃないかと思っているかもしれませんが、私は、自分自身の献血経験から、そういうのに対しては否定的で、 ブラックボックスを嫌だというのは一理あると思っています。

>> 進化の途中で失われた形質というのは、後から出て来ないと聞いたことがあるんですが、 「先祖返り」ってこと、ありますよね。人間は、尻尾が退化したと言われていますけど、たいていの状態では尻尾があって、 それが成長してくる間に無くなってきますよね。つまり、尻尾は退化したわけではなくて、 実際には見えない状態になっているだけではないんかなと思うんですけど。

斎藤: そのとおりです。付け加えますと、無くなったというのには2種類ありますね。 今仰ったように、胎児のときには、皆尾っぽはあったんですよ。それをわざと無くしていくわけですね。尾っぽを無くしていく遺伝子というのがあって、 その遺伝子が壊れちゃうと残るということで、「先祖返り」になる。ただし、本当に遺伝子そのものが無くなってしまうと、取り返しがつかなくて、 本当に消えてしまう。クジラでも、たまに、立派な足があるようなクジラが見つかるらしいんですが、たぶん、 足になる遺伝子は未だ完全に抑えこまれていなくて、抑え込む遺伝子が壊れたから足が出てきたいうことでしょうね。 でも、ダチョウが、あれはもう飛べませんが、先祖返りで空を飛ぶようになるとすごいですよね。(笑)

三井: 進化の系統樹というのは、根元から一方向だけに伸びていると思われていたんだけど、そうじゃなくて、 行ったり来たりするんじゃないかという説を最近読んだのですが、その辺はどうなんですか。今の先祖返りと、ちょっと関係するかなと思って。

斎藤: 今仰ったことは、「遺伝子の水平移動」ということじゃないかと思うんですが。バクテリアのように、 細胞1個で生きている生物はたくさんありますけども、その場合には、細胞がふわふわと浮いていますので、その中のDNAが、 ポコッと横にいる細胞に移るということは簡単に起こるんですよ。バクテリアの世界では、当たり前のことなんです。 ところが動物は、精子と卵子が合体して受精卵になりますから、そうしたDNAの移動は、そう簡単にはないと思っていたんですが、 受精卵のときに、ウイルスやバクテリアが入ったりすることが、どうもあるらしい。例を挙げますと、ホヤですね。酒の肴にしますけど。 あれは岩にくっ付いて、まるで貝のような、貝というより植物のように見えるんですが、実際はセルロースでできているんですよね。 最近の研究ですが、ホヤはバクテリアからセルロース合成遺伝子をもらったんだそうです。もう一つは、これはまだ論文をよく読んでいないんですが、 我々の脳神経系で大事なシナプスというのがあります。この場所で、神経細胞から神経細胞へいろんな小さな分子が受け渡されますが、 その分子、パーキンソン病でよく聞くドーパミンとか、セロトニンとか、そういう分子を作る遺伝子を、動物が生じた頃に、 バクテリアからもらったという説が最近出ていました。そうすると、我々の脳神経系も、バクテリアのおかげということで、バクテリア様々ですね。

>> 私は、バラの花色の濃度を変えることをやっていたんですよ。赤い花を黄色くすることはできないんですが、 赤色の濃度は、リン系の肥料と窒素系の肥料のバランスによって変えることができるんです。私は色が黒いんですよ。娘が二人いるんですけど、 下は白くて、上はお父さんに似て黒いなと。今からでも、やっぱり少し白くなりたいなと。特に夏ですと、黒くなると、そのまま黒くなる。 花の色の濃度は肥料で変えられますが、食べ物で色白にはできないのかどうか、教えて頂きたい。

斎藤: 単純に言えば、色素のタンパク質をつくるのを抑えればいいんですね。だから、栄養失調になればいいんですよ。 旧満州のチチハルの近くにある、ダウール族という少数民族が住む村に行ったときに、かなりの少年が金髪だったんですよ。 最初は、中国の奥地でも髪を染めているのかなと思ったんですけども、1990年代初頭のことですから、髪を染めるような文化は入っていない。 いろいろと皆で話し合った結果、たぶん、栄養失調じゃないかなということになったんですね。色素を十分に作れないから、皮膚も何となく白かったし、 目も茶色でした。だから、栄養失調にして下さいとは言えませんが、栄養失調的なダイエットをすればいいかもしれません。

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Last modified 2006.07.04 Copyright(c)2005 The Takeda Foundation. The Official Web Site of The Takeda Foundation.