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第10回レポート
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第10回リーフレット

第10回 カフェ・デ・サイエンス


講師: 平田典子(ひらた・のりこ)
      森田茂之(もりた・しげゆき)
日時: 2006年9月29日



数学カフェ 「整数の不思議」 BACK NEXT

三井:このカフェ・デ・サイエンスも、今日で10回目になります。 数学カフェとしては4回目ですが、今日は、数学の専門家として、平田典子(河野典子)さん(日本大学理工学部教授、代数学)と、 数学カフェの1回目にも講師を務めて下さいました森田茂之さん(東京大学数理科学教授、トポロジー)が来て下さいました。

先ず、平田さんに、自己紹介を兼ねて、今日のテーマに関するお話をして頂きたいと思います。

平田:皆さん、今晩は。ここでお話をする機会を頂きまして、どうも有り難うございます。

(講師席でお話を始められましたが、「360度周囲に聴衆がいらっしゃるので、必ずどこかに背中が向いて失礼になってしまいます」ということで、 調理場を背にするほうへ移動されました。)

日本大学理工学部に奉職しております平田典子と申します。整数論という、算数や数学の授業で、良く出てくるような題材を「なにしろ好きで」やっております。 皆さんが子供の頃、最初に不思議な数だと思うのは、まず円周率ではないかと思います。3.14から始まって、数が何だか変な並び方をしている。 これがどうして円の面積に関係するのか、子供なのでさっぱり分からないが、謎がそこにあることだけは感じる。円周率が円だけではなく、 いろいろなものに関係するということを知り、ときめきを感じながら、しかし大学生になる迄たいした解明は出来ませんでした。 中学生のときは、初等幾何学にどっぷりとはまりまして、問題を考えていると時間を忘れる生活を送りました。

図形と関わる数というのは、整数だけではありませんが、整数に限ってみたときに、何が起こるかに興味をもちまして、 ピタゴラス数(整数の2乗を2個足した和が別の1つの整数の2乗と等しい場合、その3整数の組を指す)のような数を勉強しました。 ピタゴラス数に出てくる方程式の一般化はフェルマーの定理ということになります。私の中学生時代は、フェルマーの定理は未解決でしたから、 私もチャレンジしましたけれど、当然挫折しました。 当時の計算機は、まだ走りの頃でしたが、解がなさそうだというようなことをちょっとだけ確かめて遊んでおりました。 フェルマーの最終定理については、1995年にワイルズ(Andrew Wiles、1953-)が解いたということは、皆さん、よくご存知だと思います。

その後、お茶の水女子大学に進学しまして、その後フランスに渡って勉強しました。日本に帰ってから、いくつかの大学に奉職し、 森田先生と同じ職場だったこともありますが、現職に至っております。

今日は、時節柄、フィールズ賞の話かなと思って、少し準備をしてきました。その内容をご紹介するために、これから素数表をお配りします。 これを使って、ナゾナゾをしてみたいと思います。

前回の数学カフェでは、織田先生と寺杣先生が講師をされて、素数がテーマだったと伺っております。 素数については、かなり専門的なことを勉強なさっている方とか、あるいは「僕は1万まで、素数はソラで書ける」なんて仰る方もおられるかと思いますが、 簡単に説明します。

素数は、「自分自身と1以外の数では割り切れない自然数」ということに定めています(これは正確には既約元という数の定義で、 素数の一般化である素元の定義ではないのですが、通常の整数の範囲では、両概念は一致することが知られています)。 ただし都合で1は素数に入れないことにしております。素数を並べ上げる最も簡単なやり方は次です。 まず自然数を全て書き出し、そのうち2で割り切れるものを2以外全部消して、3で割り切れるものを3以外全部消す、5で割り切れるものを5以外全部消す、 等々、自分自身と1以外の数で割り切れるものを順々に全て消していきますと、素数というものが残っていきます。お渡しした表にあるのは、2,000以下の素数ですね。

素数は、英語で、"prime"と言います。皆さんが今召し上がっているビールなども、プレミアビールという名前を付けますと、ちょっと格が高い、大切な、 本質的な、という意味をもつものになります。"prime"は、それと同じ語源の言葉です。素数の雰囲気にピッタリで、物事の源になるような、 元素のような、基本的なものという意味です。

10という数は、2×5という素数の積で表すことができますし、12は2×2×3で、2と3の素数で表すことができます。 つまり、全ての自然数は素数のかけ算で表すことができる。素数が全ての自然数を生成する源だというわけです。 最初にこれだけあれば充分という、そういう集合として、素数を考えられるということです。

1という数は素数に入れません。数学は、シンプルにするために決めたルールのもとで成り立つように決められていますので、5を5×1と表さなくても、5だけでいい。 1はむしろ5の零乗とみなせる。

今回のテーマは素数ではありませんでしたが、皆さんが申し込まれたときの質問の中に、素数に関する質問が何件かあり、 また素数は人気がある話題であることを伺いましたので、時期的な話題性もあってこの話を用意して参りました。皆さんはたぶん、 素数は魅力的で不思議なものというふうに思っていらっしゃるように感じております。私も、常々そのように思っております。

今回のフィールズ賞受賞者は、4人います(Andrei Okounkov, Grigori Perelman, Terence Tao, Wendelin Werner)。そのうち、分かり易い内容を選びまして、お二人の業績を紹介させて頂きます。森田先生は、 ポアンカレ予想(Poincare Conjecture)ということでGrigori Perelmanのお話をされると思いますが、私は、テレンス・タオ(Terence Tao) という人の仕事について、お話しようと思っています。

皆さんには、タオの問題と同じ問題を考えてもらおうと思っていますので、お配りした素数表を眺めながらお食事を召し上がって頂いて、 何か面白い特性などが見つかりましたら、是非、教えて下さい。

(休憩)


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