吉川先生と西村先生を囲んでの全体座談会
1.Disciplineの価値評価
2.賞賛の意味
3.目に見えないものの評価
4.生活者の欲する空間
5.本来の工学
6.第二種基礎研究の例
7.公的資金と私的資金
8.現実に富を作るのは企業
9.第二種基礎研究は民にもある
10.目標設定が重要
11.第二種基礎研究には方法論の構築が必要


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2.賞賛の意味

(大戸) 
先生のご本の中で、夢と悪夢と現実というグラフの中で、縦軸が人々の賞賛というふうになっていましたね。あれは非常に私、印象に残っていまして、なんで賞賛なのだろうと。今、お話を聞きますと、モチベーションということなのでしょうか。あるいは、科学者がある技術者をやる時に、やはりこのレコグニションというのがいちばん大きなモチベーションになるのでしょうか。

(吉川) 
今のお話は、縦軸というのは、それは研究者がモチベーションいう意味で書いているのではないです。今の西村さんの話にも関係するけれども、研究者というのは、やはり社会的な生き物でもありますから、自分の研究が好奇心でと言うのだけれども、自ら自閉的に好奇心だけで研究している人はやはりいないのです。それがどう評価されるかということは、常に関心があります。そういう意味では、有形無形の評価システムというのが社会側にはあるわけです。いちばんわかりやすいのは、研究費が出るということです。そういう社会側のレスポンスを書いたわけで、研究者自身のモチベーションそのものではないですね。だから研究者にとっては極めて重要なファクターです。



 
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