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[図 23]
[図 24]
[図 25]
[図 26]
[図 27]
[図 28]
[図 29]
[図 30]
[図 31]
[図 32]
[図 33]
[図 34]
[図 35]
[図 36]
[図 37]
[図 38]
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4.エネルギーセキュリティ技術
この図は石油の現在の生産量を示しています。世界で1日に約6800万バレル生産されています。我が国の石油消費量は、
550万から600万バレルの間ですから世界の生産量の8%を消費しております。従って、1割弱の原油を我が国では消費していることに
なります。昔は旧ソ連の産油量が一番多かったのですが、今はサウジアラビアが一番です。昨年の2003年の数字で、2位がロシア、3位
がアメリカ、4位がイギリス、ノルウェー、北海油田それからイランです。それから中国、UAEという風になっています。昔は、ロシアお
よび東欧、旧ソ連が世界の20%、多いときでは23%生産していたのですが、ソ連の崩壊によって生産量が大幅に下がっております。
この図は、OPEC加盟11カ国の石油生産量を示しています。ベネズエラを除いて、11カ国のうち十カ国が、イスラムの国
になっております。別にイスラムの国がいいとか悪いとかいう話ではなくて、たまたまそうなっています。国民1人当たりの総生産は、
クエートが1万5千ドル、カタールになりますと1人3万ドル、4人家族で12万ドルです。円換算しますと、1500万円くらいになります。
非常に裕福ですね。アラブ首長国連邦も2万3千ドルあります。これらの国々がどれくらい原油を生産しているかといいますと、一番産油量
の大きいサウジアラビアで1日大体1千万バレル、2番目の国であるイランでも380万バレルで、3番目あたりになりますと280とか
260とか230万バレルになります。この数字と我が国が消費している原油の量550万から600万バレルを比較しますと、我が国がい
かに多くの原油を使っているかということが非常に良くわかります。各国の原油の輸出量は、サウジが多くても600万バレル、その次にな
りますと200万バレル前後で、日本の消費量は2,3カ国を合わせてちょうどということになります。もっといいますと全体で2100万
バレルですから、世界の原油輸出量の四分の一は日本が使っているということになります。
この図は、石油の確認埋蔵量と可採年数いわゆる寿命を示したものですが、図の左側がOPEC側、右側が非OPEC側です。
寿命というのは、よく誤解されるのですが、定義は、昨年1年間世界で使った石油の量でもって、世界中で現在確認されている可採埋蔵量を
割ったものです。ですから、ありえない話ですが、今後一切新たな油田が見つからずに、しかも世界の石油消費量が昨年と同量であれば、
約51年で無くなるということになります。ただし、この51年というのは、これは石油連盟からの資料なんですが、昨年までは42年に
なっていました。なんで10年も増えたのかといいますと、カナダのオイルサンドを昨年から石油連盟はこの中に加えたからです。したがってこれを無視しますと、実は41年強となっています。ここ7年前から、はじ
めて石油の寿命は下がり始めています。私ども子供の頃は石油の寿命は33年とか35年とかいわれておりました。いつまでたっても無くな
らない、どんどん増えてまいりました。
1859年にエドウィン・ドレイクがペンシルベニアのオイルクリークで石油を機械的に掘り始めた。これが近代石油製作の初めという ことになっています。それから約140年たっております。約3万の油田が開発されております。その中で巨大油田といいますのは、約 700くらい。最近発見された中で、一番大きいのが北海油田です。では今後どんどん巨大油田が見つかっていくのかというと、これはやはり期待は薄くて、探査 技術が発達してきた現在では、もう新たにあるのはシベリアか南極大陸かあるいは中国と中央アジアの境目あたりの、これまで人 の手が付けられていない部分にわずかに残されているだけであって、今後大きく、伸びていくことは難しいといわれております。それでこの 図に戻ってきますと、現在ちょっとおかしなことになっているイラクの二百何十年を除きますと、サウジアラビア、イランあるいはクエート、 アラブ首長国連邦が100年前後の可採年数になります。ベネズエラというのも、これもいわゆるオリノコヘビーオイルを加えた数字ですの で、これはちょっと抜いた方が良いと思います。これらに比較すると、ロシアでも20年、アメリカ11年、中国十何年、イギリス、 ノルウェー8年と、いわゆる先進国は大体10年前後の寿命しか無いということです。
これが石油連盟の出している数字で、原油が確認可採埋蔵量で1兆バレル、それに対してオイルサンドが1兆2千億バレル、
オリノコタールが約1兆バレル、オイルシェールが3.5兆バレルということになっています。オイルシェールに関していうと、これは油母頁岩
といいまして、岩の間に有機質が挟まった物で、これを熱的に分解して油をとりだすものです。実際に使われていますのはエストニアなどの
旧ソ連の一部、ここは品質が非常に良くて20%くらいケローゲンが入っていますから、この石ころを生炊き出来ます。カロリーが低いので
すが一応自燃いたします。後は実際に使われているのは、昔、満州で日本軍がオイルシェールを開発したということがありますが、実際現在
使われているのはブラジルのイラチ、リオからちょっと1,000キロ南に行ったところですが、ここで1日当たり4,000バレルくらい
の油を作っています。その程度でありまして、これだけ大量にあるといいましても実際に使える量というのは非常に少ないということです。
大量にあるという意味ではここには載っておりませんが、コールベットメタン、これも数字の上では大量にあるといわれています。非常に薄く、
量は石炭層の中に、ほとんどどこでも入っているといわれています。石炭のあるところには、何処にでもある、ただし非常に薄いので回収が難
しいということです。
この図は原油価格の推移を示したものです。いいたいのは、原油はコストではなく、プライスであり、政治的に決まっていると
いうことになります。WTI(ウエストテキサスインターミディエイト)と北海ブレントとドバイとOPECバスケットの四つを書いてあります。
WTIは世界の一応アメリカの指標になっていますが、東京12チャンネルのWBS(ワールドビジネスサテライト)をご覧になりますと毎日、
今日はいくらであったかということが出てまいります。大体今40ドルを越えていると思います。我が国に非常に直結しておりますのがドバイ
の価格です。WTIの価格と比較すると数ドル安い価格になっています。この下の図は、原油はプライスであるということを端的に示していま
す。つまりある時期、急に高くなったり、安くなったりするのです。先ほど大戸さんの方からオイルショックの話が出ましたが、あの時、我が
国が輸入した原油の量はどうだったのかというと、全然下がっていないですね。前年と同量輸入していた。
一体原油の価格が何で決まるのかということですが、結論から言いますと非常に心理的に決まるということなんです。いろんな
世界情勢があります。イラク情勢、パレスチナ、米国の石油製品の市場、そういうものが作用してくるのですが、実は問題があります。
まずデータがカバーしている範囲が狭いということです。大体1ヶ月たって世界の68%、3ヶ月で74%のカバー率です。こういうデータ
でもってアナリストが判断するということです。北米、OECDのデータは、まあいいんですが、非OECDはデータがあまり無いし、
旧ソ連は、データの信頼性が低いということになります。それから中東は、石油が政治の道具になっているものですから、そもそも中東の石油
関連の数字というのは極めて、ある意味では信頼性が薄いということになります。先ほどの表の中で言及しませんでしたけれど、原油の確認可
採埋蔵量が中東で一時大幅に増えております。これは別に新しい油田が見つかったわけではなくて、実は今まで思っていたより沢山ありました
と上積み修正したわけです。サウジにとってアメリカの経済がダメージを 受けるのもダメ、だけど原油が安くなって収入が減るのも困る。原油が高値安定しているのが一番いいのですね。ですから、そういういろいろ
な政治的な思惑が入るのが中東の場合です。
アフリカではデータは殆どありません。それから、原油以外のものも石油製品に入ってくる。いわゆるコンデンセートも入ってき
ます。カナダのオイルサンドも入ってきます。オリマルジョンも入ってきます。オリマルジョンというのはベネズエラのオリノコタールの水エ
マルションで、日本も製品化して使っています。今アルコール、エタノールが問題になっています。エタノール燃料もガソリンの一部として
入ってくる可能性があります。オイルシェールは日本には入ってきておりませんが、世界の一部で使われております。石炭からF―T(フィ
シャー・トロプシュ)合成で南ア、シンガポール、ニュージーランドで石油製品を作っています。
それからもう一つプロセッシング・ゲインというものがあります。製油所で実はあれだけ水素と触媒とお金を使って原油をきれい
にしているのに、1リットルの原油から平均してガソリンとか軽油を作るのに3円もかからないのです。なぜかというと石油製品は体積で売る、
マスで売る、水素を加えますとボリュームが増える。だから製品の量が増えるわけです。重さで売っているのではないから。そこが非常に大き
い儲けどころになっております。実は世界全体で、はっきりした数字は無いのですが、水素化精製、水素化処理によって石油の量はおよそ
300万バレル増えているといわれています。300万バレルというのは、先ほどいいましたように、日本の石油消費量が550から600
万バレルですから、大きな量です。
それからもう一つの問題は在庫の解釈が難しいということであります。つまり石油が消費されたということは何を以って消費され
たのかということであります。本当に消費されるのはガソリンで皆さんが車を運転して、ガソリンタンクからガソリンが無くなったら消費なん
ですが、実は流通上はそういうふうにはなっていません。皆さんのガソリンタンクを調べているわけではありませんので。そうすると何かとい
うと、ある製油所の中、あるいは小売業、ここでタンクが空になった、それが消費になっています。でも本当はそれで消費されたわけではない。
こういうふうに見てみますと、まずデータが極めて取りにくいということがあります。しかもいろいろなニュースと投資家の市場心理がそれに
加えて効いてくるということになります。今、40ドルを越えているといいましたが、1859年に石油が機械的に、商業生産されて2,3年
後の1860年代の初頭、記録に残っている数字でも原油は1バレル、60ドルを超えていたことがあります。恐らく100ドル近かったので
はないかといわれております。そのくらい石油は投機的な商品として扱われてきましたし、その後も石油の歴史というのは政治そのものであり
ます。
これは各国のエネルギーの輸入依存度を示したものです。日本は海外からのエネルギー輸入量の割合が高い。スペインだって高い。 イタリアだって高い。ただ日本が他の国と一番違うのは、石油輸入におけるホルムズ海峡依存度が76.5%と非常に高いということです。これは どこもそんなに高い国は無い。日本のエネルギーの76%はホルムズ海峡を通ってきている。だからホルムズ海峡で一朝事あるときには、他の国も 困りますが、日本は物凄い打撃を受けることになるということです。
これはカナダのオイルサンドを示したものです。このあたりがエドモントンです。フォートマクマレーというところで、サンコール
、(旧GCOS)というのとシンクルードという二つの会社が今操業していますが、地層が傾斜していて、このフォートマクマレーの地域で露頭に出て
います。これが露天掘りで採れる唯一の場所になっていますが、カナダ全体で約1兆3千万バレルあるオイルサンドの内、露天掘りで採れるのは
8%しかありません。それ以外は坑内掘りで採らざるをえないということです。それからカナダではオイルサンドとか単にサンドとかいいますが、
もう一方の南米にベネズエラでも同じようなものがあります。これはオリノコヘビーオイルもしくはオリノコタールと呼ばれています。南米では
露天掘りをする場所はありません。サンドという目に見える形で出てこないからだと思います。
これは露天掘りの写真です。普通の車がこのくらいの大きさですが、馬鹿でかい露天掘りをやっています。
これは南米のベネズエラですが、こういう潅木が生えているような、誰もいないようなところでヘビーオイルが出ております。
これはベネズエラの図ですが、ここにオリノコ川が西から東に走っております。ここにオリノコオイルベルトという、オリノコヘ
ビーオイルが溜っております。
これは主要国の原油埋蔵量とオリノコヘビーオイルの埋蔵量を比較してものです。オリノコヘビーオイルはオリマルジョンという 商品名で市場に出ています。オリマルジョンというのはオリノコタールと水約27%を混ぜた混合物で、オイルインウオータのようになってお ります。ですからビーカに入れて逆さにするとビーカの縁に油は付かない、そして界面活性剤が入っており、原材料の3割から4割 が界面活性剤のコストになっています。このオリマルジョンというのは比重が1以上で、原油や石油として分類されません。そこが、政治的に 非常に面白いというか、重要な所であって、ベネズエラは11カ国のOPECの中の一つの国ですから、当然OPECの決定には従わざるを得 ないのですが、それはあくまで石油に関して従わざるをえない。ところが、オリマルジョンは天然アスファルトの範疇に入っており、したがって このオリノコタール1兆バレルに関しては、ベネズエラは自分自身でその価格も決められるということになっています。販売量もOPECの枠外 で自由に決められるということです。但し、日本に持ってくるときに一番大きな問題になるのはパナマ運河が5万トンクラスのタンカーまでしか 通れないということです。南米の南を回ってくるのはいかにも高すぎるということで、我が国にはあまり入ってきておりません。
これは、オリノコヘビーオイルを掘っているところです。
これは、三菱商事からいただいた資料ですが、これがオリマルジョン、これがエマルションの前ですね、ですから逆さにしてもなか
なか落ちてこない。いわゆるアスファルトと思っていただければけっこうです。
オリマルジョンは、ビトールという企業が扱っていて、極東では、香港に籍をおいた三菱商事との合弁会社のMCビトールが販売
しています。本籍を香港に置いた理由は、上海などの沿岸部の大都市をターゲットにおいているからです。日本をターゲットにしているわけで
はありません。
これは、ブラジルのイラチのオイルシェールの断面を示したものです。上が地表で、地下に向かって大きく二つの層があり、この
二つの層の両方を掘り、混ぜて、乾留して油を作っております。
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