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5.情報化社会とエネルギー
最後に、エネルギーセキュリティでもないし地球環境でもない市場経済に任せるエネルギー問題についてお話したいと思い
ます。我々人間は50歳や60歳までは元気ですが、60歳を超えると身体能力や知的能力に個体差が大きくなってまいります。いままでは、製品の価値は、製品の物理的特性によって価値が決まっていましたが、これからは個人のニーズにあっている
かどうかで価値が決まってくると思います。この画面はきれいでしよう、このテレビの画面はすばらしいでしょうと言っても、目の悪い
人にはきれいにはみえないかもしれない。健常人に対してこの画面はきれいでしようといっても、やや目の機能の一部が損傷されている
方には合っているかどうかわからない。従って、これからは、いかに個人適合型の商品を低コストで多品種少量生産できるかということ
が重要になってくると考えています。
それでは、そうしたときに何が必要かというと、軽薄短小エネルギーです。特に情報機器に向けてエネルギーのソースを
どう提供できるか。ブロードバンド時代を迎えて映画の配信、動画の配信、画像の配信が増えてまいります。そうすると、今のバッテ
リーでは3時間くらいしかもたないので、大量の画像の配信がされた場合、おそらくすぐに切れてしまうと思われます。我々が欲しいの
は、朝出て夕方もどってくるまでもってくれるようなバッテリーです。そういうためのエネルギー源が必要になってくる。
我々はユビキタスエネルギーと言っていますが、これにはいくつかあります。光、化学エネルギー、熱、機械、非接触式の
エネルギー等です。例えば、非接触式のエネルギーというのは、エネルギー源は持ち歩かない。そうではなくで、エネルギー源は都市の
インフラの中にある。それを受ける変換器だけ持ち歩く。今でも既に大きな橋の欄干にのっている照明装置には非接触式の電球がついて
います。磁場で光を発生するものがのっかっている。値段は高いが熱がでません。フィラメントなどが入っていないので切れることもな
く、非常に長寿命であす。
軽薄短小のエネルギー源としては、マイクロ燃料電池というのもあります。現在は、ダイレクトメタノール燃料電池が主流
になっているが、まだまだモバイル本体と同じくらいの容積の燃料タンクが必要です。また、このダイレクト燃料電池というのは体内で
発電する燃料電池ということです。全く夢のような話ですが、エネルギーの供給を我々が食べている食物を供給源とする。そうすると永
久に取り替える必要のないペースメーカーの電池になる。後は、熱電変換です。体温で発電する電池、体に貼り付けておけばずっと発電
するような電池、こういうものを我々は目指していこうと考えています。
恐らく、今後、発展途上国と先進国との差別化というのは社会インフラ、産業インフラがどれだけ整備されているかという
ことになるのではなかろうかと考えています。雑駁な話でしたが、これで私の話を終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございま
した。
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