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第24回レポート
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第24回リーフレット

第24回 カフェ・デ・サイエンス


講師:  大島泰郎(おおしま・たいろう)
ゲスト講師:  長田敏行(ながた・としゆき)
日時:  2009年6月8日



異端児のみる生命「花の咲く不思議」 BACK

E:売られているハイブリッド米の種は、その種から収穫したものを播いても同じ米ができないということで、独占が保証されているわけですが、あのようなハイブリッド米はどのようにして作られているのでしょうか.

長田:最も良く調べられているのはトウモロコシのハイブリッドです.一般に雑種になった生物は、純系種よりも生活力が旺盛になることが多く、雑種強勢と呼ばれます.ハイブリッド品種は、この雑種強勢を利用したもので、その子孫は必ず悪くなるというわけです.

米は本来自殖性ですが、花粉ができなくなるような性質を付加してハイブリッドをつくることができます.中国で盛んにやられていますが、日本でもJTなどで研究されています.

N:花の写真集を出したいと思って、様々な色の花を探しているのですが、信号の青のような緑色の花というのはないのでしょうか.

長田:花びらがブルーのケシはありますが・・・.

G:サントリーが遺伝子組換えで作った青いバラは、紫色に近い青ですが、そのうち段々濃くなってくるだろうという話でした.

B:その青バラを見せてもらったことがありますが、紫色に近いものや青色に近いものが、2、3種類あったような気がします.

長田:実は、1980年代の中頃、ドイツのケルンにあるマックス・プランク研究所のグループがペチュニアを使ってそのプロトタイプの実験をやっています.そのときはすごく感激しました.見栄えのする色合いではありませんでしたが、原理は全く同じです.当時ドイツではグリーン党の活動が盛んで、研究所に爆弾が投げ込まれたりしましたので、その研究者は嫌気がさしてイギリスへ行ってしまいました.

O:果実が良い匂いを出すのは、どうしてでしょうか.

長田:果実の匂いに関してはちょっと分かりませんが、果実の成熟にはエチレンガスが関係していて、どのように成熟が進行するかということは、けっこう研究されています.その結果でてくる匂いは、その果実を食べるものとの関係で考えられるのでしょうが、匂いを感じるのかどうかは分かりません.

花の匂いで、それも悪いほうの匂いですが、スマトラが起源のコンニャクの花はとんでもない匂いを出します.その匂いでカブトムシを呼び寄せて、カブトムシが花粉を媒介します.コンニャクは里芋の類ですが、その中のザゼンソウやミズバショウは、雪があって凍るようなところで花が咲きますが、実は、花のところで熱を出して、同時に匂いも出すわけです.小石川植物園で、その花の出すガスを回収して分析しようとしたことがあります.残念ながら、そのときは花が咲かなかったので空振りに終わりましたが、関連の種では匂いの成分は既に調べられていて、論文が出ています.

三井:いつまでもお話が続きそうですが、時間がきましたので、ここでおしまいにします.皆さん、本当にありがとうございました.(拍手)


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Last modified 2009.09.01 Copyright(c)2005 The Takeda Foundation. The Official Web Site of The Takeda Foundation.